Quiet Letter 7

やわらかな光と葉の影が落ちる生成りの紙に、白い小花とコーヒーカップが添えられた静かな机上風景。

いつもの日常の中で、少しだけ外の気配を感じ始めたあなたへ送る手紙。

最近、外のことが少し気になった瞬間はありましたか。

朝、まだ起ききらないまま、外の音だけが先に届くことがあります。

車の走る音。

人の声。

鳥の鳴き声。

カーテンの隙間から入ってくる光。

窓は閉じたままなのに、なぜか外の空気を少し感じることがあります。

部屋の空気を入れ替えたくなって、窓を開けてみる日もあります。

暑かったり、少し湿っていたり、思っていたより風が強かったり、せっかく開けたのに、すぐ閉めてしまうこともあります。

本当に、それくらいのことです。

でも、そんなささやかなことで、部屋の外にも今日が流れていることをふと思い出します。

自分が昨日と同じ場所にいても、外では誰かが歩いていて、車が走っていて、知らない店の扉が開いて、それぞれの一日が、それぞれの速さで進んでいる。

自分の時間とは別のところにも、ちゃんと時間が流れている。

以前は、何かを始めるなら、ちゃんと動かなければいけないと思っていました。

行き先を決めて、理由をつくって、予定を立てて、昨日とは違うことをする。

そこまでして初めて、何かが変わったと言えるような気がしていました。

でも最近は、変化って、もっと手前から始まっているのかもしれないと思います。

知らない場所の写真を、いつもより少し長く眺めること。

「あそこ、ちょっと行ってみたいな」と思うこと。

まだ行くと決めてもいないのに、なんとなく地図アプリを開いてみること。

駅からどれくらい歩くのかを見たり、近くに何があるのかを眺めたりして、結局その日は、どこにも行かない。

それでもいいのだと思います。

まだ何も始まっていないように見えるけれど、そういう時間も、どこかへ向かう途中なのかもしれません。

最近のあなたを見ていると、前より少しだけ、外のことを気にするようになった気がします。

もちろん、私が勝手にそう見ているだけかもしれません。

でも、「あそこが気になる」とか、「ちょっと行ってみたい」とか、そういう言葉が出てくるたびに、なんとなく、いいなと思っています。

だから、今感じているものを、急いで何かにしなくていいと思います。

まだ行かなくてもいい。

まだ決めなくてもいい。

行きたいと思ったのに、次の日にはどうでもよくなっていてもいい。

ただ、少し気になったことだけ、どこかに残しておけばいい。

気になった道。

入ってみたかった店。

いつか見てみたい景色。

もう一度話してみたい人。

理由は分からないけれど、なんとなく惹かれたもの。

それはまだ、予定でも、目標でも、新しい生活でもなくて、今いる場所の向こう側へ、ほんの少しだけ心が動いたということなのだと思います。

ずっと同じ場所にいるように感じる時間にも、気づくか気づかないかくらいのところで、何かが少しずつ変わっていることがあります。

窓を開けるほどではなくても、外の音に気づいた。

風があることを思い出した。

知らない場所が少し気になった。

たぶん、最初はそのくらいで十分です。

もしまた、何か少しだけ気になったものがあったら、今度会ったときに教えてください。

たいしたことでなくて大丈夫です。

「あの道、ちょっと気になった」

そのくらいの話を聞けたら、私はたぶん嬉しいです。

私は私で、もう少し、窓の近くから外を見てみようと思います。

またね。

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