大切な人としたい10のこと

夕暮れの町を望む窓辺に、二つのマグカップとカメラ、本、ドライフラワーが置かれた静かな室内

大きなことじゃなくていい。

遠くへ行くことより、同じ景色を見たり、少し遠回りしたり、何でもない一日を一緒に過ごしたい。

そんな人ができたら、してみたいこと。

知らない町を、目的を決めずに歩く

曲がったことのない角を曲がって、知らない店や、少し変な建物を見つけたい。

道に迷っても、たぶんそのままでいい。

目的地に着くことより、その途中で何を見つけたかを覚えていたい。

疲れたら適当な店に入って、そこで初めて次にどこへ行くか考えるくらいでいい。

同じ部屋で、別々のことをする

私は写真を整理して、あなたは本を読む。

ずっと話していなくてもいい。

たまに見つけたものだけ見せ合う。

「これ、ちょっと見て」と呼ばれて、数秒だけ同じものを見る。

それが終わったら、またそれぞれの時間に戻る。

沈黙を埋めなくても、同じ場所にいることがちゃんと成立する関係がいい。

本屋に入る

何かを買うためではなく、棚の前をゆっくり歩く。

別々の場所を見ていたのに、最後に同じ本の前で立ち止まったら、少し笑うと思う。

あなたが棚から抜き取った本を横から見て、「それを選ぶんだ」と思ってみたい。

知らなかった作家の名前を一つ覚えて帰る。

何も買わずに出てもいい。

雨の日にも出かける

人の少ない道を歩いて、濡れた町や、傘越しの光を見たい。

晴れるまで待つのではなく、雨の日にしか見えないものを一緒に探したい。

軒下で少し雨宿りしたり、水たまりを避けながら歩いたりする。

靴が少しくらい濡れても、その日のことまで嫌いにはならないと思う。

二人で何かをつくる

料理でも、写真でも、小さな冊子でもいい。

旅先で拾ったものを並べたり、二人で撮った写真だけをまとめたり。

名前のつかない何かでもいいし、完成しなくてもいい。

上手につくる必要もない。

あとで見返したときに、「この日だった」と分かるものが少し残ればいい。

つくっている途中の時間まで、あとから思い出せるものがいい。

予定がなくなった日を、そのまま楽しむ

行きたかった店が臨時休業だったり、電車を乗り過ごしたりしても、失敗だったことにしない。

予定がなくなったから、歩くはずのなかった道を歩くこともある。

近くの公園に入ったり、知らない喫茶店を見つけたりするかもしれない。

最初に決めていたものとは違っても、その日がよければ、それでいい。

予定通りだったかどうかより、そのとき隣にいた人と何を見つけたかのほうを覚えていたい。

海か川の近くで、しばらく黙る

無理に話題を探さず、水を見たり、風の音を聞いたりする。

何かを説明しなくてもいい。

話すことがなくても困らない時間を、一緒に持ってみたい。

沈黙が気まずくないというより、黙っていることまで一緒にできたらいい。

帰る頃になって、さっきまで何を考えていたのか聞いてもいいし、聞かなくてもいい。

あなたが好きなものを、ちゃんと見る

私が知らなかった映画でも、音楽でも、場所でもいい。

「おすすめだから」で終わらせず、あなたがその何を好きなのか知りたい。

どの場面で笑うのか。

どんな音を何度も聴くのか。

どんな場所で立ち止まるのか。

作品そのものだけではなく、それを見ているあなたのことも知りたい。

好きな人が見ている世界を、少しだけ同じ場所から見てみたい。

くだらないことで笑う

スーパーで見たことのない食べ物を一つだけ買ったり、変な看板を見つけて写真を撮ったりする。

何の意味もないことで笑って、あとから思い出して、また少し笑う。

帰ってからも、その日に撮った変な写真だけ何度か見返してしまう。

たぶん、そういうものは最初から思い出にしようとして残したわけではない。

だからこそ、ずっと残ることがある。

何年か経っても、また同じことをする

昔行った店にもう一度行ったり、前に歩いた道をまた歩いたりする。

同じ場所なのに店が変わっていたり、私たちの話すことが少し変わっていたりする。

前にはなかった建物ができていたり、好きだった店がなくなっていたりするかもしれない。

「あのとき、ここでこんな話をした」と、片方だけが覚えていることもあると思う。

変わってしまったものと、まだ変わっていないものを一緒に見つけたい。

特別なことを増やしていくより、何でもなかった時間が、少しずつ増えていくほうがいい。

たぶん私が大切な人としたいのは、特別なことではない。

知らない町を歩いたこと。

本屋で別々の棚を見ていたこと。

雨で靴が濡れたこと。

黙って水を見ていたこと。

くだらないことで笑ったこと。

いつか思い返したとき、なぜかそういう細かいところまで覚えているような日を、その人と少しずつ増やしていくことなんだと思う。

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