短編– tag –
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知らないものにはまだ名前がないだけ
引っ越した部屋で見つかる一枚の付箋。誰が書いたのか分からない短い文章は、少しだけ現実と重なっている。見えないものには、本当に名前がないだけなのかもしれない。 -
心は死んでいる。身体はとうに崩れている。
だから、生きている理由を探すのはやめた。 探したところで見つからないし、見つかったところで明日には忘れてしまう。 人は理由があれば生きられると言う。 けれど僕は、理由がなくても朝が来ることを知っていた。 カーテンの隙間から差し込む光。 冷蔵庫... -
雨の匂いを返しに行く。
再会したのは3年後の六月だった。 雨が降っていた。 駅前の喫茶店は変わらず営業していた。 変わったのは値段くらいだった。 ブレンドコーヒーは350円から560円になっていた。 世界中で物価が上がっているらしい。 ニュースでは毎日そんな話をしていた。 ... -
最初から終わり方だけは分かっていた。
だから安心していた。 映画は2時間で終わる。 住み慣れた部屋も、荷物を運び出せばただの空間に戻る。 旅は帰りの高速道路に乗った瞬間から思い出になる。 僕はそういうものが好きだった。 終わりが決まっているもの。 終わり方が分かるもの。 終わりを管... -
熊を見に行くついでに食べられてくるね
近年は全国的にクマの出没や人身被害が増え、里山と人間社会の境界が曖昧になっている。だからこの筋は、現代日本の不穏さと個人の諦念が同時に乗る。
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