湿気をまとった日に送る手紙。
最近、夏が始まったと思った瞬間はありましたか。
ある休みの日、一日中家にいて、気づけば外は夕方になっていました。
その日、何度エアコンのリモコンに手を伸ばしたことか。
暑いからつける。
少し涼しくなってきたから消す。
窓を開けてみる。
風が通って、少し空気の気配を感じる。
でも、その風は涼しさではなく湿度を部屋へ運んでくる。
またリモコンに手を伸ばす。
暑いからつける。
少し涼しくなったから消す。
また暑くなってつける。
一日中、その繰り返しでした。
季節の変わり目というのは、案外こんな暮らしなのかもしれません。
昔は、夏といえば強い日差しを思い浮かべていました。
青い空や入道雲、蝉の鳴き声。
そんな景色が夏の始まりだと思っていました。
けれど最近は違います。
窓を開けた瞬間の空気。
肌にまとわりつく湿度。
コップの外側についた水滴。
なかなか乾かない洗濯物。
床を裸足で歩いたときの、少しひんやりした気持ち良さ。
目には見えないのに、部屋の中には少しずつ季節が入り込んできます。
そういう小さな変化の積み重ねで、
「ああ、夏が来たんだ」
と思うようになりました。
あなたの部屋も、空気は変わりましたか。
朝起きたからといって何かが急に変わるわけではありません。
そう言葉にすると少し大げさに聞こえるけれど、部屋は昨日の続きのままです。
机の上のものも、カーテンの揺れ方も、昨日とほとんど変わりません。
それでも空気だけは少し違う。
冷たい飲み物を選ぶ回数が増えたこと。
夕方になっても壁の熱が残っていること。
部屋の中に風の通り道を探すこと。
そして、エアコンのリモコンに何度も手を伸ばしてしまうこと。
そんな日が続いているうちに、気づけば七月になっていました。
前半が終わったからといって、何かを急いでまとめなくてもいい。
後半が始まったからといって、新しい自分にならなくてもいい。
まずは季節が静かに動き始めたことに気づく。
その変化を、少しだけ受け取ってみる。
それだけで十分な日も、あるのかもしれません。
今日もまた、リモコンを机の上に置きました。
その小さな音が、この夏の始まりを知らせているように聞こえました。
今年の後半も、少し涼しい風が見つかりますように。
またね。


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