Quiet Letter 4

「Quiet Letter 4」のタイトルと日付が中央に配置され、右下に水彩を添えたグラス、エアコンのリモコン、一輪挿しの線画が描かれた手紙風のアイキャッチ画像。

湿気をまとった日に送る手紙。

最近、夏が始まったと思った瞬間はありましたか。

ある休みの日、一日中家にいて、気づけば外は夕方になっていました。

その日、何度エアコンのリモコンに手を伸ばしたことか。

暑いからつける。

少し涼しくなってきたから消す。

窓を開けてみる。

風が通って、少し空気の気配を感じる。

でも、その風は涼しさではなく湿度を部屋へ運んでくる。

またリモコンに手を伸ばす。

暑いからつける。

少し涼しくなったから消す。

また暑くなってつける。

一日中、その繰り返しでした。

季節の変わり目というのは、案外こんな暮らしなのかもしれません。

昔は、夏といえば強い日差しを思い浮かべていました。

青い空や入道雲、蝉の鳴き声。

そんな景色が夏の始まりだと思っていました。

けれど最近は違います。

窓を開けた瞬間の空気。

肌にまとわりつく湿度。

コップの外側についた水滴。

なかなか乾かない洗濯物。

床を裸足で歩いたときの、少しひんやりした気持ち良さ。

目には見えないのに、部屋の中には少しずつ季節が入り込んできます。

そういう小さな変化の積み重ねで、

「ああ、夏が来たんだ」

と思うようになりました。

あなたの部屋も、空気は変わりましたか。

朝起きたからといって何かが急に変わるわけではありません。

そう言葉にすると少し大げさに聞こえるけれど、部屋は昨日の続きのままです。

机の上のものも、カーテンの揺れ方も、昨日とほとんど変わりません。

それでも空気だけは少し違う。

冷たい飲み物を選ぶ回数が増えたこと。

夕方になっても壁の熱が残っていること。

部屋の中に風の通り道を探すこと。

そして、エアコンのリモコンに何度も手を伸ばしてしまうこと。

そんな日が続いているうちに、気づけば七月になっていました。

前半が終わったからといって、何かを急いでまとめなくてもいい。

後半が始まったからといって、新しい自分にならなくてもいい。

まずは季節が静かに動き始めたことに気づく。

その変化を、少しだけ受け取ってみる。

それだけで十分な日も、あるのかもしれません。

今日もまた、リモコンを机の上に置きました。

その小さな音が、この夏の始まりを知らせているように聞こえました。

今年の後半も、少し涼しい風が見つかりますように。

またね。

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