中編– tag –
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本日分、終了
この町では、一日に一度だけ、嘘が物になる。朝のうちに嘘を「消化」する習慣のなかで、「大丈夫」と答えたあとに現れた白い箱が、やがて町の当たり前を揺らしていく。 -
六畳、五十七デシベル
この街では、声の大きさで家賃が決まる。一デシベルにつき、月千円。声を小さくするほど暮らしは安くなり、話さなくても生活できる街で、私は少しずつ自分の声を使わなくなっていった。 -
一メートルあとで
その駅では、人の名前を呼ぶと、その人の身体が声のした方へ少し近づく。名前を知ったことで始まった一メートルの移動と、自分の足で選ぶ距離についての物語。 -
身体以外、出勤済
ある朝、私の影だけが先に会社へ行っていた。最初は席に座れば戻ってきた。やがて影は戻らなくなり、私が会社へ行かなくても、仕事だけは以前より正確に進み続けた。 -
ひとりぶんの空
私は、一日に七分だけ透明になる。見えなくなっても、身体はそこにあり、声も出る。人とすれ違い、席に座り、仕事をしながら、見えることと存在することの違いを少しずつ知っていく。 -
猫がいるなら、異常なし
閉館後の建物には、毎晩どこかに猫がいた。水漏れの前、閉まりきらない扉の前、そして何もない場所。警備システムが「異常なし」を記録し続ける夜、猫だけが別の何かを見ていた。 -
腐敗する世界で、僕だけが土になれない。
人は死んだ後、どこへ行くのか。少年は祖父の死をきっかけに、身体が消えることと、存在が消えることは同じではないと知っていく。森の中で見つけた腐敗したものは、終わりではなく、別の生命へ渡る途中の姿だった。 -
住所、七文字先の月
透明な傘を一本持って出た男。逮捕時の告知から、七文字だけが抜けていた。小さな手続のずれは、記録、住所、警察、そして月の位置へと静かに重なっていく。 -
星を戻さず、水を見ていた
星を戻し、失われた生命を蘇らせる力を持つ、名のない存在。世界へ介入するたびに別の傷が生まれることを知ったそれは、やがて星ではなく、石の窪みに残る小さな水を見るようになる。救済、選択、喪失、そして自分を必要としない世界についての物語。
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