朝、机の上にコップが二つ残っていた。
片方には少し水が入っていて、もう片方は空だった。
机の前に立ったまま、しばらく二つを見ていた。
それからまとめて持ち上げ、流しへ運んだ。
窓は閉まっていた。
カーテンの端だけが内側へ折れていて、その隙間から細く光が入っていた。
光は机の端で止まっていた。
机の下に、小さく折られた紙が落ちていた。
拾って、広げずに机の端へ置いた。
椅子は少し斜めを向いていた。
背に手をかけた。
直そうとして、そのまま離した。
机の端。
窓際。
玄関の近く。
昨日を辿ろうとすると、出来事より先に、もののあった場所が浮かんだ。
流しへ戻った。
二つのコップを洗った。
水を切り、伏せて並べた。
蛇口を止めた。
部屋へ戻る。
机の上には、折られた紙だけが残っていた。
椅子はまだ斜めを向いていた。
今度は背に手をかけ、机の正面へ戻した。
少しだけ、床を擦る音がした。
座った。
朝の光は、まだ机の端にあった。
さっきまでコップがあった場所を見る。
何も置かれていなかった。
昨日より、そこが少し広くなっていた。


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