デンマークを旅していたとき、ホームステイ先のホストから「面白い日本の映画やアニメを教えてほしい」と言われて、このリストを作った。
日本映画やアニメの歴史を網羅するためではなく、自分が実際に観て好きだったものや、誰かに紹介するときに思い浮かぶものをまとめている。
映画一本で完結するものから、何十話も続くTVシリーズ、複数の作品へ枝分かれしていったシリーズまであるので、現在は次のように分けている。
気になるものからどうぞ。
おすすめの作品があれば、コメント欄で教えてください。
このリストは随時更新していきます。
実写映画
『ドライブ・マイ・カー』(2021)
監督・脚本:濱口竜介|原作:村上春樹
妻を失った舞台俳優・演出家と、その専属ドライバーになった女性。
車内で交わされる言葉。
交わされない言葉。
舞台上の台詞。
カセットから流れる、もういない人の声。
約3時間をかけて、それらが少しずつ同じ場所へ集まっていく。
失ったものを忘れて先へ進むのではなく、失ったものと一緒に時間を進めていく映画。
『スパイの妻』(2020)
監督:黒沢清
1940年代の日本。
夫婦のあいだにある秘密と、国家が隠そうとする秘密が重なっていく。
誰を信じるのか。
何を知ってしまったのか。
知ったあと、それまでと同じ場所にいられるのか。
歴史映画でありながら、最後まで黒沢清の映画らしい不穏さが残る。
『オーファンズ・ブルース』(2018)
監督:工藤梨穂
記憶を失っていく女性が、一人の友人を探して旅に出る。
覚えているうちに会わなければならない。
けれど、移動している間にも記憶は抜け落ちていく。
大きな物語へ広げず、記憶、喪失、移動を一人の身体の近くから追っていく作品。
『陽だまりの彼女』(2013)
監督:三木孝浩|原作:越谷オサム
中学時代の初恋の相手と、10年後に再会する。
そこまでは普通の恋愛映画のように見える。
一緒に暮らす。
食事をする。
出かける。
その日常の中へ、少しずつ説明のつかないものが混ざってくる。
『おくりびと』(2008)
監督:滝田洋二郎
チェロ奏者だった男が、故郷へ戻り、納棺師として働き始める。
亡くなった人の身体を整える。
家族が見守る。
棺へ納める。
「死」を遠い出来事として扱わず、仕事や手順、生活の中から見せるところが好き。
『呪怨』(2002)
監督:清水崇
ある家に残った怨念。
そこへ入った人。
その人と関わった人。
さらに、その人と関わった人。
恐怖が人から人へ移るというより、場所に触れたことで逃げられなくなる。
「どこへ逃げるか」ではなく、「もう触れてしまった」という怖さ。
『EUREKA/ユリイカ』(2000)
監督:青山真治|217分
バスジャック事件が起きる。
事件は終わる。
でも、生き残った人間の時間はそこで元には戻らない。
言葉が出ない。
部屋にいる。
食べる。
同じ場所で暮らす。
移動する。
217分。
出来事を圧縮するのではなく、簡単には飛ばせない時間を観客にも一緒に過ごさせる。
観終わったあと、物語だけではなく「そこにいた時間」まで残る。
『リング』(1998)
監督:中田秀夫|原作:鈴木光司
一本のビデオテープ。
見ると、一週間後に死ぬ。
それだけなら怪談のようなのに、ビデオ、テレビ、電話といった当時の身近なメディアそのものが恐怖の経路になる。
画面を見るという行為まで少し怖くなる。
日本のホラーを紹介するときに、やはり外しにくい一本。
『CURE/キュア』(1997)
監督・脚本:黒沢清
似た方法で起きる殺人事件。
けれど、犯人同士につながりはない。
刑事が追うのは「誰が殺したのか」だったはずなのに、少しずつ「なぜその人が殺したのか」「自分の意思とは何か」へ変わっていく。
大声で驚かせる映画ではない。
静かなまま、足元だけがなくなっていく。
『時をかける少女』(1983)
監督:大林宣彦|原作:筒井康隆
時間を移動する力を持った少女の物語。
尾道の風景、学校、記憶、時間。
後に同じ原作から生まれた2006年のアニメーション版とは、同じ題材でも映画の手触りがかなり違う。
二つを続けて観るのも面白い。
『セーラー服と機関銃』(1981)
監督:相米慎二|原作:赤川次郎
普通の女子高校生が、突然ヤクザの組長になる。
設定だけを聞くとかなり奇妙なのに、映画はその奇妙さを説明して整えようとしない。
人物が画面の中を長く動き続ける。
カメラも簡単には切らない。
物語だけではなく、撮り方そのものが記憶に残る。
『太陽を盗んだ男』(1979)
監督:長谷川和彦|脚本:レナード・シュレイダー、長谷川和彦|147分
中学校の理科教師が、プルトニウムを盗む。
自宅で原子爆弾を作る。
国家を脅迫できる力を手に入れる。
それなのに、何を要求すればいいのか分からない。
核兵器。
国家。
警察。
個人。
かなり大きな題材を扱っているのに、社会派映画だけにはならない。
アクションも、犯罪映画も、風刺も、荒唐無稽さも、そのまま一緒に走っていく。
『犬神家の一族』(1976)
監督:市川崑|原作:横溝正史
名家の遺産相続をめぐって起こる連続殺人事件。
金田一耕助が謎を解いていくミステリーだけれど、思い出すのは事件だけではない。
屋敷。
湖。
家系図。
仮面。
日本家屋の暗さ。
一枚の画として残る場面が多い。
日本を舞台にした海外監督作品
日本の俳優や場所、生活を中心にしているけれど、制作背景まで含めると「日本映画」だけでは少し説明しにくい作品はこちらへ。
『PERFECT DAYS』(2023)
監督:ヴィム・ヴェンダース|主演:役所広司
朝、起きる。
植物へ水をやる。
車に乗る。
カセットテープをかける。
トイレを清掃する。
昼に木を見る。
写真を撮る。
銭湯へ行く。
本を読む。
眠る。
また朝が来る。
同じ生活を繰り返しているように見える。
でも、光も、人も、会話も、毎日少しずつ違う。
大きな出来事を待たなくても、一日はすでに変化している。
東京の日常を海外の監督が見た映画として、このページでは少し離した場所に置いている。
アニメーション映画
『ルックバック』(2024)
監督・脚本・キャラクターデザイン:押山清高|原作:藤本タツキ|制作:スタジオドリアン
藤野は漫画を描く。
京本も漫画を描く。
一人で描いていた二人が出会い、一緒に漫画を作るようになる。
描く。
比べる。
追いつこうとする。
一緒に作る。
また一人になる。
創作することと、失ったあとにも描き続けること。
58分の中に、その両方がある。
『君たちはどう生きるか』(2023)
原作・脚本・監督:宮崎駿|制作:スタジオジブリ
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母を失った少年が、不思議な塔へ入る。
その先には、生者と死者が混ざり合う世界がある。
産むこと。
生まれること。
死ぬこと。
作ること。
作られた世界を引き継ぐこと。
そこから出て、生きている場所へ戻ること。
全部を説明してくれる映画ではない。
だから、観たあとにも残り続ける。
『竜とそばかすの姫』(2021)
監督:細田守|制作:スタジオ地図
FILMARKS · IMDb · STUDIO CHIZU
現実では、地方で暮らす高校生。
仮想世界〈U〉では、世界中から注目される歌姫「ベル」。
一人の人間に二つの身体と二つの場所がある。
オンラインだから隠せること。
オンラインだから届くこと。
画面の外へ出なければできないこと。
巨大な仮想世界と、一人の身体との距離が面白い。
『音楽』(2020)
監督:岩井澤健治|原作:大橋裕之
不良高校生たちが、突然バンドを始める。
楽器経験はない。
音楽理論もない。
それでも鳴らしてみる。
映画そのものも、7年以上をかけて4万枚を超える作画を手描きで制作している。
ほとんど動かない瞬間と、急に大きく動き出す瞬間。
その落差まで音楽みたいな映画。
『さよならの朝に約束の花をかざろう』(2018)
監督・脚本:岡田麿里|制作:P.A.WORKS
長い寿命を持つ少女マキアが、人間の赤ん坊を拾う。
育てる。
子どもは大きくなる。
母と同じ背丈になる。
やがて、母より年上に見えるようになる。
二人には、同じ速度で時間が流れていない。
それでも、一緒に過ごした時間は消えない。
『君の名は。』(2016)
原作・脚本・監督:新海誠|音楽:RADWIMPS
東京に暮らす瀧。
岐阜県の山深い町で暮らす三葉。
眠っているあいだ、二人の身体が入れ替わる。
最初は生活の違いが面白い。
そのうち、場所だけではなく時間までずれていたことが分かる。
身体。
記憶。
土地。
災害。
時間。
個人的な出会いが、いつの間にかもっと大きなものへつながっていく。
『聲の形』(2016)
監督:山田尚子|原作:大今良時|制作:京都アニメーション
聴覚障害のある少女をいじめていた少年。
その少年自身も、やがて周囲から孤立する。
時間が経つ。
もう一度会う。
謝れば全部戻るわけではない。
許されたから終わるわけでもない。
人ともう一度関係を作ることの難しさを、簡単な答えにしない。
『言の葉の庭』(2013)
監督:新海誠|46分
雨の日だけ、二人は会う。
日本庭園。
濡れた石。
葉に落ちる水。
靴。
足元。
遠くを走る電車。
人と人との距離を、会話だけではなく天候や場所まで使って作っている。
『風立ちぬ』(2013)
監督:宮崎駿|制作:スタジオジブリ
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美しい飛行機を作りたい。
その飛行機が、何に使われるのか。
作ることの喜びと、作ったものが自分の手を離れたあとに持つ意味。
どちらか一方だけには寄らない。
『かぐや姫の物語』(2013)
監督:高畑勲|制作:スタジオジブリ
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線が走る。
色が広がる。
感情が激しくなると、絵そのものまで崩れていく。
『竹取物語』を語り直すだけではなく、人物の感情とアニメーションの形が直接つながっている。
『おおかみこどもの雨と雪』(2012)
監督:細田守
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二人の子どもを育てる。
人間として育てるのか。
おおかみとして育てるのか。
親が選ぶのではなく、最後には子ども自身が選んでいく。
育てることと、手放すことが同じ時間の中にある。
『サマーウォーズ』(2009)
監督:細田守
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巨大な仮想空間OZ。
一方には、長野に集まった大家族。
世界規模の危機が起きても、映画は食卓や電話や親戚同士のやり取りへ何度も戻ってくる。
デジタルの話なのに、人の数がそのまま強さになる。
『パプリカ』(2006)
監督:今敏|原作:筒井康隆
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夢へ入る。
別の夢へ移る。
現実へ戻ったと思ったら、まだ夢かもしれない。
場面転換そのものが夢の論理になる。
説明を聞いて理解する前に、映像の方が先に境界を壊してくる。
『時をかける少女』(2006)
監督:細田守|原作:筒井康隆
時間を戻せる。
失敗したらやり直す。
もう一度遊ぶ。
もう一度食べる。
都合の悪いことはなかったことにする。
便利だった能力が、やがて「戻せない時間」の存在を見せる。
『ハウルの動く城』(2004)
監督:宮崎駿|制作:スタジオジブリ
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歩く城。
荒地の魔女。
火の悪魔。
戦争。
魔法。
世界の仕組みを全部理解してから進む映画ではない。
分からないものが残ったまま、その中を歩いていく。
『千と千尋の神隠し』(2001)
監督:宮崎駿|制作:スタジオジブリ
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名前を奪われる。
働く。
食べる。
風呂に入れる。
忘れそうになる。
異世界の物語だけれど、その世界には労働も規則も生活もある。
だから、不思議な場所なのに妙に具体的。
『PERFECT BLUE』(1998)
監督:今敏
本人。
アイドルだった自分。
女優として演じる自分。
ファンが見ている自分。
インターネット上にいる「自分」。
どれが本物なのか分からなくなる。
編集そのものが足場を消していく。
『もののけ姫』(1997)
監督:宮崎駿|制作:スタジオジブリ
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森を守るもの。
森を切るもの。
そのどちらにも、生きる理由がある。
善悪だけで二つに割れない世界だから、終わっても問題はきれいにはなくならない。
『紅の豚』(1992)
監督:宮崎駿|制作:スタジオジブリ
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アドリア海。
飛行艇。
空賊。
豚の姿をした男。
飛ぶことの楽しさと、大人になってしまった人間の距離感が、同じ映画の中にある。
『老人Z』(1991)
監督:北久保弘之|原作・脚本・メカニックデザイン:大友克洋
高齢者介護を自動化するための最新型ベッド。
最初は介護機器だったものが、どんどん別のものへ変わっていく。
介護。
高齢化。
自動化。
軍事技術。
1991年の作品なのに、扱っている問題が妙に現在へ近い。
『となりのトトロ』(1988)
監督:宮崎駿|制作:スタジオジブリ
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田舎へ引っ越す。
森へ行く。
雨を待つ。
種を植える。
バス停に立つ。
大事件がなくても、場所と時間だけで世界は十分に広がる。
『AKIRA』(1988)
監督:大友克洋
ネオ東京。
バイク。
暴走する力。
軍。
研究機関。
若者たち。
画面の中にある情報量がとにかく多い。
1988年の映画なのに、都市も光も速度も、いまだに未来の映像に見える。
『火垂るの墓』(1988)
監督:高畑勲|制作:スタジオジブリ
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食べるものがなくなる。
眠る場所がなくなる。
頼れる大人がいなくなる。
戦争を戦場だけではなく、二人の子どもの生活が少しずつ維持できなくなる過程として見る。
『天空の城ラピュタ』(1986)
監督:宮崎駿|制作:スタジオジブリ
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空から少女が落ちてくる。
城を探す。
飛ぶ。
追われる。
廃墟へ着く。
冒険映画としてまっすぐ楽しい。
知らない場所へ行く映画を観たいとき、今でも思い出す。
『風の谷のナウシカ』(1984)
原作・脚本・監督:宮崎駿|制作:トップクラフト
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毒を出す森。
巨大な蟲。
その外側で暮らす人間。
自然を、人間にとって優しいものとしてだけ描かない。
人間が理解していなかっただけで、別の仕組みがすでに動いている。
TVアニメ
『ヤニねこ』(2026-)
原作:にゃんにゃんファクトリー|アニメーション制作:バイブリーアニメーションスタジオ
煙草を吸う。
部屋を汚す。
金がない。
だらしない。
かなりひどい生活なのに、猫の姿をしているだけで妙に見続けられる。
定番作品だけではなく、その時に実際に観ているものもこのリストには残しておきたい。
『ダンダダン』(2024-)
原作:龍幸伸|アニメーション制作:サイエンスSARU
モモは幽霊を信じる。
オカルンは宇宙人を信じる。
二人とも、自分が信じていない方と遭遇する。
幽霊。
宇宙人。
呪い。
恋愛。
青春。
ジャンルを整理する前に、全部まとめて走っていく。
『薬屋のひとりごと』(2023-)
原作:日向夏
見る。
匂いを嗅ぐ。
症状を比べる。
毒を疑う。
試す。
猫猫には派手な特殊能力があるわけではない。
知っていることと、観察したことを組み合わせて答えへ近づいていく。
『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』(2021-)
現代で人生を終えた男が、別世界でルーデウスとして生まれ直す。
新しい世界へ行けば、それだけで人間まで新しくなるわけではない。
前の人生から持ってきた弱さも残る。
だから「異世界で強くなる」より、「もう一度人生をやる」物語として観ている。
『Re:ゼロから始める異世界生活』(2016-)
原作:長月達平
死ぬ。
時間が戻る。
やり直す。
また失敗する。
周囲の人にとっては初めて起きる出来事でも、スバルだけは以前の死を覚えている。
時間を戻せる能力が、便利さより重さになっていく。
『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』(2019-)
原作:香月美夜
本がない。
では、作る。
紙がない。
インクがない。
印刷機もない。
なら、一つずつ作る。
異世界ものなのに、文明の工程を逆向きにたどっていくような面白さがある。
『Dr.STONE』(2019-2026)
原作:稲垣理一郎|作画:Boichi
火。
石鹸。
ガラス。
電気。
電話。
船。
ロケット。
文明がなくなった世界で、科学を一段ずつ積み直していく。
完成品としてしか知らなかったものの途中が見える。
『ハイキュー!!』(2014-)
原作:古舘春一
拾う。
上げる。
打つ。
一人では続かない。
日向一人が強くなる物語ではなく、コートの中と外にいる人間まで少しずつつながっていく。
『僕のヒーローアカデミア』(2016-2026)
原作:堀越耕平|アニメーション制作:ボンズ
「個性」を持つことが普通の世界で、無個性だった緑谷出久がヒーローを目指す。
強い能力を持つことと、誰かを助けられることは同じなのか。
長いシリーズの中で、その問いへ何度も戻ってくる。
『どろろ』(2019)
原作:手塚治虫
目。
耳。
皮膚。
手足。
鬼神へ奪われた身体を、百鬼丸は一つずつ取り戻していく。
身体が戻るほど、人間へ近づく。
けれど、それがそのまま幸福とは限らない。
『HUNTER×HUNTER』(2011-)
原作:冨樫義博|アニメーション制作:マッドハウス
冒険が始まる。
試験になる。
犯罪組織の話になる。
ゲームの世界へ行く。
巨大な生態系と人類の話になる。
一つのシリーズなのに、編が変わるたびに別の作品のように形を変える。
『バクマン。』(2010-2013)
原作:大場つぐみ|漫画:小畑健
漫画を描く。
ネームを出す。
編集者と話す。
連載会議を待つ。
アンケートを見る。
続くこともあれば、打ち切られることもある。
作品の外側にある制作と出版の仕組みまで物語にしている。
『ぼくらの』(2007)
原作:鬼頭莫宏|監督:森田宏幸|制作:GONZO
15人の子ども。
一体の巨大ロボット。
一回の戦闘。
一人の操縦者。
世界を守れば終わりではない。
勝つたびに、その代償が誰か一人へ返ってくる。
『妄想代理人』(2004)
原作・総監督:今敏|制作:マッドハウス
「少年バット」に襲われた。
そんな事件が増えていく。
被害者が増えるほど、その存在は一人の犯罪者という形から離れていく。
噂。
逃避。
社会。
妄想。
一人の頭の中にあったはずのものが、街全体へ広がっていく。
シリーズ/複合メディア
映画、TVシリーズ、特別編など、複数の形へ広がった作品はこちらへまとめている。
『地球外少年少女』(2022)
原作・監督:磯光雄|全6話
宇宙旅行。
AI。
インプラント。
SNS。
2045年の世界では、それらが未来の珍しい技術ではなく、子どもたちが普通に使うものになっている。
宇宙を舞台にしているのに、技術が生活へ入り込んだあとの日常として見せるところが好き。
劇場では前後編、配信では全6話という二つの形で公開された。
『オッドタクシー』(2021-2022)
監督:木下麦|脚本:此元和津也
最初は、タクシーの中の会話を聞いているだけに見える。
乗客が降りる。
別の人物が乗る。
関係なさそうだった話が、少しずつつながっていく。
最後には、最初の何気ない会話まで別の意味に見えてくる。
映像作品は、
『メイドインアビス』(2017-)
原作:つくしあきひと|アニメーション制作:キネマシトラス
穴の底に何があるのか知りたい。
それだけで、どんどん深くへ行く。
ただし、深く潜るほど戻ることが難しくなる。
未知へ近づくことと、帰れなくなることが同じ方向にある。
主な映像作品は、
- 『メイドインアビス』(2017) — IMDb
- 劇場版総集編 前編『旅立ちの夜明け』(2019) — IMDb
- 劇場版総集編 後編『放浪する黄昏』(2019) — IMDb
- 『劇場版 メイドインアビス 深き魂の黎明』(2020) — IMDb
- 『メイドインアビス 烈日の黄金郷』(2022)
- 劇場シリーズ第一部『目覚める神秘』(2026)
『チェンソーマン』(2022-)
原作:藤本タツキ|アニメーション制作:MAPPA
デンジが欲しいものは、それほど大きくない。
普通の食事。
普通の家。
誰かと一緒にいること。
でも、周囲で起きることはまったく普通ではない。
欲望が小さいほど、その周囲にある暴力や異常さが大きく見える。
『JUNK』シリーズ
監督:堀貴秀
好きなのは、物語だけではなく、この地下世界そのもの。
建物も、生き物も、機械も、一つずつ手で作られている。
映像の中にあるものが、本当にどこかに存在していた痕跡がある。
『JUNK HEAD』(2021)
人類が生殖能力を失った未来。
主人公は地下世界へ送られ、そこで独自に進化した人工生命体たちと出会う。
生物。
建築。
機械。
通路。
言語。
物語を見るというより、世界そのものを覗き込んでいる感じがある。
『JUNK WORLD』(2025)
『JUNK HEAD』より1042年前の地下世界。
同じ世界を未来へ延ばすのではなく、過去へ掘って広げていく。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(2018-2020)
原作:暁佳奈|アニメーション制作:京都アニメーション
この作品は、どれか一本だけではなくシリーズ全体で好き。
ヴァイオレットは、戦争の中で「武器」として生きてきた。
戦争が終わる。
今度は、誰かの言葉を書く仕事をする。
他人の手紙を書くことで、自分には分からなかった感情を少しずつ知っていく。
映像作品は、
- 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(2018/TV全13話) — IMDb
- Extra Episode(2018) — IMDb
- 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 -』(2019) — IMDb
- 『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(2020) — IMDb
TVシリーズだけでも、劇場版だけでもなく、この順番で時間を過ごしたこと自体が作品の一部になっている。
『GANTZ』シリーズ
原作:奥浩哉
死んだはずの人間が、知らない部屋へ転送される。
黒い球体がある。
武器を渡される。
外へ出される。
何と戦っているのかも、なぜ選ばれたのかも最初は分からない。
主な映像作品は、
- TVアニメ『GANTZ』(2004) — IMDb
- 実写映画『GANTZ』(2011) — IMDb
- 『GANTZ PERFECT ANSWER』(2011) — IMDb
- 『GANTZ』(2016) — FILMARKS · IMDb
同じ設定を、違う映像形式で見る面白さもある。
『NARUTO -ナルト-』シリーズ(2002-2017)
原作:岸本斉史
最初は、里の中で孤立している一人の少年だった。
仲間ができる。
師匠ができる。
敵ができる。
その敵にも過去がある。
次の世代が生まれる。
長いからこそ、人物同士の関係が一度きりでは終わらない。
TVアニメは、
へ続く。
15年という長さそのものが、この作品の記憶になっている。
『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ(2002-2024)
このシリーズで残っているのは、巨大な兵器そのものより、人間を二種類に分けてしまった世界の方かもしれない。
遺伝子を調整されて生まれた「コーディネイター」。
自然のまま生まれた「ナチュラル」。
その区分が政治、差別、戦争、個人の関係へ入り込んでいく。
主要作品は、
- 『機動戦士ガンダムSEED』(2002-2003) — IMDb
- 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(2004-2005) — IMDb
- 『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(2024) — IMDb · OFFICIAL
『攻殻機動隊』シリーズ(1995-)
原作:士郎正宗
IMDb / 1995年版 · GLOBAL OFFICIAL
身体を交換できる。
脳をネットワークへ接続できる。
人工知能が人間のように振る舞う。
では、人間を人間にしているものはどこにあるのか。
『攻殻機動隊』は、その問いを一つの答えへまとめず、制作陣や世界設定を変えながら何度も作り直しているところが好き。
押井守監督の劇場アニメ
STAND ALONE COMPLEX系
- 『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(2002-2003) — IMDb
- 『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』(2004-2005)
- 『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』(2006) — IMDb
- 『攻殻機動隊 SAC_2045』(2020-2022) — IMDb
ARISE系
- 『攻殻機動隊ARISE』(2013-2014) — IMDb
- 『攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』(2015) — IMDb
- 『攻殻機動隊 新劇場版』(2015) — IMDb
『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』(2026-)
監督:モコちゃん|シリーズ構成・脚本:円城塔|アニメーション制作:サイエンスSARU
2026年から放送中の新シリーズ。
過去のアニメシリーズの続編ではなく、士郎正宗の原作を、新しい制作陣でもう一度アニメーション化している。
30年以上たっても、同じ原作からまだ別の『攻殻機動隊』が生まれる。
その変化まで含めて追いたいシリーズ。
『エヴァンゲリオン』シリーズ(1995-2021)
エヴァンゲリオンも、一作品だけを選ぶより、何度も作り直された過程そのものが好き。
同じ人物がいる。
似た出来事が起きる。
同じような言葉が出てくる。
けれど、同じ場所には着かない。
TVシリーズから旧劇場版、新劇場版まで、その違いも含めて一つのシリーズとして見ている。
TVシリーズ
『新世紀エヴァンゲリオン』(1995-1996)
全26話。
第3新東京市へ襲来する「使徒」と、それに対抗するエヴァンゲリオン。
巨大ロボットアニメの形から始まり、物語が進むほどシンジ、レイ、アスカたちの内面へ深く入っていく。
TV版の第25話・最終話は、その内面を中心にした独自の形で終わる。
旧劇場版
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』(1997)
DEATH編とREBIRTH編の二部構成。
DEATH編はTVシリーズを再構成したもので、後に
- DEATH
- DEATH(TRUE)
- DEATH(TRUE)²
という異なる編集版が作られた。
REBIRTH編は、後の劇場版完結編につながる。
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(1997)
TVシリーズの第25話・最終話とは別の形で描かれた結末。
内面を中心に終わったTV版に対し、外側の世界で何が起きていたのかが映像として現れる。
『REVIVAL OF EVANGELION』(1998)
『DEATH(TRUE)²』と『Air/まごころを、君に』をまとめた上映形態。
旧シリーズを劇場作品として一つの流れで見る形の一つ。
新劇場版
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007)
TVシリーズと近い場所から、もう一度始まる。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009)
似ていた物語が、大きく違う方向へ進み始める。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012)
時間も世界も、それまで知っていたものから大きく変わる。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』(2021)
2007年から続いた新劇場版4部作の終点。
同時に、1995年から繰り返されてきた「エヴァンゲリオン」という作品そのものから外へ出ていくようにも見える。
TVシリーズ。
旧劇場版。
新劇場版。
一度終わったものが、別の形で始まり、また違う結末へ向かう。
その反復と変化を含めて好きなシリーズ。
記事の内容に誤りや不備がありましたら、コメント等でお知らせいただけると助かります。
確認のうえ修正します。


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